シミュラクラとは?/ ディック
[ 605] シミュラクラ THE SIMULACRA
[引用サイト] http://www.inawara.com/SF/H263.html
|
「うせろ」チックは警告を与えた。しかしコマーシャルはしっかりくっついており、もぞもぞと動き出すと、風に押しまくられながらもドアのすき間へじりじりと進んだ。やがてむりやり入りこみ、ニッツ広告社特有のくだらない話を一席ぶちはじめるにちがいない。 チックとしては、そいつがすきまから入ってくるときに殺すこともできた。そいつは生きており、やはり死から免れられないのである。広告会社は自然そのものと同じく、それらを浪費するのだ。 ハエほどの大きさのコマーシャルは力ずくでやっとこさ入り込むと、さっそくぶんぶんうなりだした…中略… 生きて自律的に動き回る広告である。同じようなものは椎名誠の「アド・バード」などでも出てくるし、ディックの「ユービック」でも出てくるが、この「ハエほどの大きさのコマーシャル」という言葉の醸し出すイメージは、衝撃的である。ディックの小説は、まるで夢を見ているかのように次々とシーンが切り替わり、関係あるのかないのかが分からないうちに話が進んでいくため、時々表れる具体的なはっとするイメージに、突然目が覚めさせられる。 ディックの小説ではいろんなものがよく言葉を紡ぐ。コマーシャルが、シミュラクラが、あらゆるものがしゃべりだし、文章を読ませる。そのたびに、登場人物はとまどい、怒り、まよい、悩み、うんざりし、無視したり、やむなく相手をする。 若い頃、といっても、1990年のことだが、私は4カ月ほど海外をバックパックしょってぶらぶらしていた。帰国して、東京の電車に乗ったとき、絶え間なく駅では案内や注意が流され、あらゆるところに広告がつり下がり、私に読めと迫ってきた。考えるいとまもなく、耳から目から私には必要のない言葉が入り込み、私に変わっていく。 1980年から90年にかけてオレゴンから北カリフォルニア一帯は争乱と中国によるミサイル攻撃のあとの放射性降下物により汚染地域となった。1985年頃、民主共和党が生まれ、1990年には、ファーストレディが権力の実権を握り、ホワイトハウスの主であるデル・アルテの選挙選出は、ファーストレディの期限付きお相手選びと化した。 いつも若い、いつまでも若いファーストレディのニコルはTVを通して人々の理想であり、憧れであり、母であり指導者である。 2040年、マクファーソン法が通過し、精神分析医は違法とされた。これからは、A・G化学の医薬品による薬物療法のみが認められるのだ。 念動者のピアニストは、コマーシャルがきっかけで重度の精神障害となり、唯一残された精神分析医を頼る。 ピアニストの音楽を録音すべく、レコード会社のスタッフは、放射性降下物に汚染された熱帯的地帯に入り込む。 |
ディックの銀行系キャッシング。 ディックの即日キャッシング、審査甘い、 ディックの信販系キャッシング、消費者金融比較、 ディックの申込情報サイト。