紅茶とは?/ ディック
[ 1641] 紅茶 - Wikipedia
[引用サイト] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%85%E8%8C%B6
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紅茶(こうちゃ、black tea)とは、摘み取った茶の葉と芽を乾燥させ、もみ込んで完全発酵させた茶葉。もしくはそれをポットに入れ、沸騰した湯をその上に注いで抽出した飲料のこと。なお、ここでいう発酵とは微生物による発酵ではなく、茶の葉に最初から含まれている酸化酵素による酸化発酵である。 ヨーロッパで多く飲用され尚且つ世界で最も紅茶を飲むのはイギリス人で、朝昼晩の食事だけでなく、起床時、午前午後の休憩にもお茶を楽しむ。このため、茶器、洋菓子なども発達し、洗練された。なお紅茶の文化は18世紀にアイルランドに伝わり、2007年現在国民一人当たりの消費量ではアイルランドがイギリスを抜いて世界一となっている。 紅茶は伝統的に中国で栽培されていた低木の茶樹(中国種)の葉から作られていたが、1823年にインドのアッサム地方で高木の別種の茶樹(アッサム種)が発見され、以後インドやスリランカなどでは後者の栽培が盛んになった。ただし、ダージリン等中国種の栽培も各地で行われており、また両者の交配も進んでいるため、産地のみでいずれの種類かを特定することはできない。なお「クローナル」とは挿し木で増やした茶樹を指す言葉であって、種子から栽培した茶樹と区別するための名称であり、品種名ではない。中国種とアッサム種の混合種と呼んだり、接ぎ木で栽培したものと説明される場合があるがそれらは誤用である。従って中国種のクローナル、アッサム種のクローナル、混合種(ハイブリッド)のクローナルが存在する。 アッサム種は中国種より渋みを示す成分が非常に多いと言われている。一般に、アッサム種または混合種の方が安価であり、中国産以外で目にする紅茶の多くはこれらである。 一般にインドの茶葉は葉が大きく、渋味が強い傾向にある。代表的な産地としてアッサム、ダージリン、ニルギリが知られる。 インド北部産。水色は澄んだ濃い目の深い紅色でミルクティーに適する。甘い芳醇な香気を持ち、こくのある濃厚な味。 インド北部産。水色は透明度の高い琥珀色でストレートティー向き。世界最高と称される特徴的な香気(マスカットフレーバー、あるいはマスカテルと呼ばれる)と、好ましい刺激的な渋味(一般にパンジェンシーと表現される)を持つ。特に硬度の低い水を用いると良く香りが出ると言われる。ダージリンには、100以上の茶園が存在し、そのうちの約半数が毎週茶葉を競売に出しているようだが、日本にも知られた「キャッスルトン」「チャモン」「リッシーハット」「マカイバリ」「ピュグリ」などの高級茶葉は高値で落札されている。白茶や青茶なども少量ながら生産されている。 インド南部産。スリランカに近く、特長もスリランカのハイ・グロウンに似る。水色は濃い橙色でミルクティーや特にスパイスを用いるバリエーションティーに適する。フレッシュですっきりとした香気としっかりとした風味を持つ。 一般にはセイロンで知られる。ウバ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、キャンディ、ルフナの五種をまとめて、セイロン・ファイブ・カインズと呼ぶ。 セイロン島南東部。水色は明るい鮮紅色で優れ、ティカップに注いだときに見られる、内側の縁に浮かびあがる金色の輪は、ゴールデンカップ、あるいはゴールデンリングと呼ばれている。好ましい刺激的な渋味(一般にパンジェンシーと表現される)を伴う芳醇な風味と、一般に薄荷に似た、ときに甘い花のような香気(茶葉により様々に変化する)を持つ。飲んだときメントール香を感じられるものが高品質とされる。濃い目のミルクティーに適する。ダージリン、キーマンと並ぶ三大銘茶の一つ。 セイロン島中央部。水色は輝きのある紅色で冷めても濁り(クリームダウンと呼ぶ)を生じにくい。バリエーションティーやアイスティーに最適。香りは控えめで、渋みが少なく、軽く柔らかだがこくのある味。 セイロン島中央部。水色は上品な橙色でアイスティーやバリエーションティーに最適。薔薇の香りに似た柔かいが強い香気を持ち、爽やかな渋味(ブリスクと表現される)を伴うが、柔らかくマイルドな風味。 セイロン島中央部。水色は淡い橙赤色。ストレートティー向き。'草いきれのする'と称されるさわやかな香気を持ち、優しく穏やかな、しかししっかりとした味。 セイロン島南部。水色は深紅色。ミルクティー向き。独特の強いスモーキーな香気を持っている。あくの重い濃厚な渋みを持つ。主にアラブ諸国で好まれている。 中国種の紅茶として有名なものには、祁門紅茶(キーマン・コウチャ)、雲南(ユンナン)などがある。これらはインドやスリランカのものと比べて、茶葉が細かく砕かれていない、何処か燻製のような香りがする、渋味が出にくい、という特徴がある。また、他の香りを吸着しやすい特徴があるとされ、アールグレイなどの香りをつけた紅茶は、中国産の紅茶を利用している場合が多い。 三大銘茶の一つ。「蘭の香り」に喩えられる微かなスモーキーさを漂わせ、味わいは渋みが少なく糖蜜のような甘さを持っている。イギリス女王の誕生日茶会に饗されることでも知られている。 アフリカでは、ケニヤ、タンザニア、マラウイ、モザンビークなどで生産されているが、その多くがブレンド用である。ケニヤに産するものは比較的良質と言われる。 1876年(明治9年)に紅茶用茶樹の種子が導入され、鹿児島、福岡、静岡、東京に紅茶伝習所が設けられ、中国種を中心に紅茶の製造がはじまった。昭和30年代半ばまでは1,500t以上生産されていた。1971年の紅茶輸入自由化以降、国内の紅茶生産は壊滅状態となったが、現在では九州、静岡県及び長野県、三重県、山陰地方などで生産された国産紅茶が若干量流通している。伊勢紅茶を除くと、渋みがあまりなく柔らかな口当たりを特徴とするまろやかな紅茶が多い。 一方、沖縄県ではアッサム種の北限より南に位置していることから、1958年にアッサム種の生産を試みた記録がある。あまり定着しなかったが、21世紀に入って「琉球紅茶」のブランド名で展開。有機栽培・無農薬などの付加価値を付け、苗木から選定したブランド化に向け自治体と取り組み本格的な生産に乗り出している。 原茶では味わえない味と香りを楽しむために、複数の茶葉を混合したものをブレンドと呼ぶ。ブレンドには大きく分けると2通りあり、異なる産地のものを合わせる場合と、同じ産地で違う茶園や違う日にちに採取した茶葉を合わせる場合がある。また香料やその他の方法で茶葉に香りを定着させたりハーブやドライフルーツなどを混合したものは、着香茶(フレーバーティー)と呼ばれる。大手メーカー(パッカー)の商品にブレンドが多いのは、安価で安定した茶葉を広く流通させるためである。 以下に良く知られるブレンド名を示す。 名前の通り、朝起き抜けに、あるいは朝食に添えて飲むためのブレンド。水色がかなり濃く、比較的強い渋味を持つ。イングリッシュとアイリッシュの二種があり、特に後者は渋味が強い。通常ミルクティーにして飲む。 午後のひとときに味わって飲むためのブレンド。ブレックファストに比べると渋みが少ない傾向だが、味や香りはパッカーにより様々。 産地の名を冠したものは、各々の産地の特徴的な香味を生かしつつ年毎の茶葉の質の変化を調整し、改良したものである。 着香茶(フレーバーティー)には香料を茶葉に吹き付けたものや、ハーブやドライフルーツなどを茶葉に混ぜ込んで着香したもの、香りの強い物質から茶葉に香りを吸着させたものなどがある。品質の良くない茶葉に商品価値をつけるために着香することが少なくない。前述の産地名のついたブレンドの中には、紅茶の香りを人工的につけた粗悪なものもある。 比較的渋みの少ないブレンドした茶葉にベルガモットで香りを付けた着香茶のこと。名前は19世紀の英国首相グレイ伯爵を由来としている。なおキーマンに着香したものがスタンダードとされる。独特の香りが好まれ、また高温に加熱しても香りが飛ばないことから、クッキー、ケーキ、ゼリーなどの菓子にアールグレイがよく使われる。しかしこれらは厳密に言えば紅茶風味の菓子というより、ベルガモットの香りの菓子である。 アールグレイをベースに、柑橘類の果皮、と矢車菊の花を加えたトワイニング社のブレンドティ。フルーティーで爽やかな風味。 この他、様々なブレンド・着香茶が存在する。また同一パッカーで同一ブレンド名のものでも、出荷先の水質や嗜好の違いなどを考慮して、混合を調節する事がある。 茶葉の茶樹上での部位と、仕上げの茶葉形状で分類したものが等級である。従って味や香りを保証するものではない。茶葉の大きさや揉捻に差があると、抽出時間にばらつきが出て味に影響が出るため、揃えるのである。国際的に統一された規格ではないため、同じ等級でも産地によって形状に違いがある。 茶樹の先端にあるチップ(まだ開いていない新芽のことで、芯芽と表記されることもある)をたくさん含むオレンジ・ペコーを指す。 なお、特に高品質の茶葉として以下のものが出回っているが、これらの等級に関しては、概ねインド政府紅茶局が認定はしているが、茶園やディーラーが品質の良さをアピールするために勝手に付けるものである。従って、本来のリーフ形状によるグレーディングの範疇をいささか逸脱した感もある。 チップを自然乾燥させたものをシルバーチップ、揉捻の際に出る、発酵成分を含んだ液に染まることで、乾燥後に金色に光るものをゴールデンチップという。 TGFOPのうち、ほとんどがゴールデンチップから成るもの。このグレード表記は、本来はフラワリー・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコーであったようだ[要出典]。 TGFOPのうち、ほとんどがシルバーチップから成るもの。STGFOPもスペシャル・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコーと表示される場合があるが、シルバー・ティッピーはシルバーチップを表す言葉である。 この等級は従来のカテゴリには無く、後にディーラーが追加で作ったものと推測されるが、チップの量・質ともに優れているものに付けられている。ゴールドチップ、シルバーチップ共に多く含む最上級茶葉である。こちらも本来は、シルバー・フラワリー・ティッピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコーといわれていた[要出典]。 また、チップのみを集めたものが「貴重」とされ高額で取引されているが、紅茶の旨み・香気成分が生成される前に摘み取られるため、味と香りはほとんどなく、水色も淡い。 ファーストフラッシュのうち、特に早い時期に摘んだもの。初売りのファーストフラッシュとして競って店頭に並べられる。 春摘みといわれる紅茶。低温期に生産を行なわない地域での新茶となる。香りが強く、発酵の浅いものが多いため、水色も緑色を帯びるものが多い。 夏摘み、もしくは2番摘みといわれる紅茶。味、香気ともにバランスがとれ、水色に優れた非常に高品質な紅茶が得られる時期。 秋茶とも呼ぶ。秋摘みという意味の紅茶。品質はセカンドフラッシュに比べ劣る。茶葉のツヤも無く、荒れた品質となる。香気は弱いがしっかりとした味の紅茶となる。 紅茶の最大の生産国はインドで、次いでスリランカ、以降ケニヤ、トルコ、インドネシアと続く。中国は茶の生産全体ではインドとスリランカの間に入るが、緑茶と区別した統計が無いため、詳細は不明である。 一般に高い標高の冷涼な環境で栽培されるものには、香りの優れたものが多く、強い日射の低地で栽培されたものに味に優れ(ただし、比較的アクの強いものとなる)、水色の濃いものが多いとされる。ダージリン、ウヴァ、キーマンなどは前者に、ルフナ、アッサムは後者に入る。一般に前者のものが高価である。近年では強い渋味を好む中近東地域で低地産紅茶の消費が増えている。 ダージリン紅茶の場合、一番茶の採れる3・4月には、香りの優れた緑がかったもの、続く5・6月には味・香りともに優れたものが採れる。7・8月の雨期には香りの無い低品質のものとなる。9・10月に採れる秋茶は主にブレンド用とされる。 セイロン紅茶の場合、産地により最高品質の茶が採れる季節(クオリティ・シーズンと呼ぶ)が異なる。例えば、ウヴァは7・8月、ディンブラは1・2月となる。 収穫期に、乾燥した日内寒暖差の激しい日が続くと香気に優れた茶葉が得られるとも言われる。また、茶樹の栽培から茶葉の収穫にかけて人手がかかるため、安くて良質な労働力が求められることも重要である。 茶樹は、病虫害や気候の変動に比較的良く耐える植物であるが、良質な茶葉を生産するためには専門の管理士の指導のもと、比較的人手のかかる作業を含む管理が必要である。 茶の収穫(茶摘みと呼ぶ)は、通常人手で行なう。通常鋏などは使用しない。枝の先端の芽(芯と呼ぶ)と、その下二枚の葉までを摘む方法(一芯二葉摘みと呼ぶ)が理想とされるが、実際はもう一枚下の葉まで含めて摘む方法(一芯三葉摘み)が一般的になっている。高級茶葉の中には一芯一葉摘みもあり、チップを多く含んでいる。 現在の紅茶の製造法は、19世紀中頃、イギリスが中国紅茶の製法を参考に、インドアッサム種を用いて製造した方法が改良されたものである。 紅茶の製造は以下の工程からなる。 簡単に言ってしまうと、収穫した茶葉を放置し、しおれさせた後に揉み潰してまた放置、茶葉が褐色に変化したところで乾燥させる。という工程の並びになる。しおれさせる工程を萎凋、揉み潰す工程を揉捻、茶葉が褐色に変化するのを待つ工程を発酵と呼ぶ。 従来は、茶葉の形状を残し、針状にまとめたもの(リーフタイプと呼ぶ)が一般的であったが、近年では、揉捻の際茶葉を磨砕し細かくしたもの(ブロークンタイプと呼ぶ)が増えている。萎凋を浅くしたブロークンタイプのもの(CTCタイプと呼ぶ)や、萎凋前の茶葉を裁断して作るもの(レッグカットと呼ぶ)もある。 「もともと東アジアにあった茶の葉が、ヨーロッパへの輸送中に発酵してしまったことから紅茶が生まれた」というのは俗説である。前述の通り、紅茶における発酵は、茶葉に含まれている酸化酵素による発酵である。すでに製品として仕上がっている茶葉が、ヨーロッパへ運んでいるうちに発酵して紅茶になる、という事はない。本当にこのような発酵が行われた可能性があるとすれば、それは菌による発酵であろう。菌を使った発酵を行う茶としては、後発酵茶である黒茶(プーアル茶など)がある。 次工程での加工のため、茶葉に含まれる水分量を調節する工程。実際には、萎凋棚に生茶葉を広げ、通風環境下で18時間程度静置する。通常茶葉の重量が元の茶葉の55%に減少するまで行なう。この操作により、茶葉は柔軟になる。また、この際萎凋香(いちじく様の香りといわれる)を生じる。 香りの強いダージリン紅茶の場合は、この萎凋を強くし、茶葉の重量が元の40%になるまで行なう。一方、水色に重きをおくCTC紅茶では萎凋を弱くし、茶葉の重量が元の70%になったところで次の工程に入る。 萎凋の終った茶葉を40分程度かけて揉み潰し、細胞膜を破壊することで紅茶の成分を抽出しやすくすると同時に、茶葉中の酵素やカテキンを浸出させ、酸素を供給して次工程の発酵を開始させる。一回の揉捻で全ての茶葉を揉み潰すのは困難な為、以下の2工程が追加される。 揉捻により塊状となった茶葉を解きほぐし(玉解)、細かくなった茶葉をふるい分け(篩分)する工程。通常器械を用いて同時に行なう。細かくなった茶葉は次の工程を飛ばし、発酵の段階で元の茶葉とあわせる 茶葉中に含まれる酸化酵素の作用を利用してカテキン類を酸化発酵させる。実際には、気温25℃、湿度95%の部屋に2時間程度静置する。この際、茶葉は褐色に変化する。 十分に発酵した茶葉を加熱し、茶葉中の酵素を失活させることで発酵を終了させるとともに、60%近くある茶葉の水分量を3%程度にまで減少させる。 茶葉を熱湯で抽出し、その抽出液を飲用する。抽出の方法にはいくつかの種類があり、淹れる人ごとに各々の決まりがあるといわれている。好みにより、砂糖、ミルク、レモン、ジャムなどを入れて飲む。日本ではミルクのかわりにコーヒー用のクリームを入れることも多いが、風味は劣る。ティー・バッグを使えば、手軽に紅茶を楽しむことができる。さらに、シナモンなどいれて飲んだりすることがあり、独特の風味や味を楽しむことができる。これは、シナモンティーという。 紅茶とミルクを合わせたもの、いわゆるミルクティーをいれる際に、ミルクを先に入れるか、紅茶の中にミルクを落とすかが、紅茶好きの間では常に議論の種になる。イギリス王立化学会が2003年6月24日にレポート「完ぺきな紅茶の入れ方 (How to make a Perfect Cup of Tea pdf)」で、冷たいミルクを先に入れたほうが良いと発表したが、これは熱い紅茶の中にミルクを注ぐとミルクのタンパク質が変質し風味を損ねてしまうことが化学分析の結果明らかになった、というものである。しかしイギリス始めヨーロッパ諸国でミルクといえば低温殺菌牛乳が主流であるため、おそらく低温殺菌牛乳のミルクを使った場合の話と考えられる[1]。日本のミルクは120℃から135℃で殺菌しすでに熱変性した超高温殺菌牛乳が主流であるため、どんなに熱くても100℃以下の紅茶にどんな順番で注いだところで、ミルクの風味が変わるとは考えにくい。低温殺菌牛乳が好きな人は入れる順番を考えればよいし、普段から超高温殺菌牛乳に飲みなれている人にとってはそれほど気にしなくてよい話である。 また、「ミルクを先に入れるべき」との根拠として熱い紅茶を上質な薄手の茶器に注いだ場合、熱によりひびが入る可能性があるため冷たいミルクで緩和するというものがある。しかしこれもあらかじめ茶器を温めておくことにより回避は可能である。 紅茶の水色は抽出に用いた水の硬度により大きく変化する。通常、硬度の高い水で淹れた紅茶は水色が濃く、暗い色調となる。飲料水の硬度が比較的高い欧州で飲んだ紅茶の水色を参考に、硬度の低い日本の水で紅茶を淹れると、味としては非常に濃く、渋みの出た紅茶になるので注意すること。また、軟水は硬水に比べ紅茶の成分、特にタンニン類を引き出す能力が高いため、同量の茶葉を用いた場合でも軟水で抽出したものは味が濃く、きつい紅茶となる傾向がある。 ポットなどの容器に茶葉を入れ、熱湯を注いで蒸らし、茶葉を濾別して抽出する方法。家庭における一般的かつ本格的な方法と言われる。ティーバッグを用いる場合もこれに分類される。 おいしく紅茶を淹れるコツは、良質の茶葉を用い、新鮮なくみたての水を用意し、あらかじめよく温めておいたポットに茶葉を入れて、十分に沸騰(ただし、沸騰したてのもの)させた湯をすぐに注ぐことである。ポットが冷めていては沸騰した湯も冷めてしまい、茶葉の旨みが抽出されにくいので、冬場は特に手を抜かないでおきたい。茶葉を充分に蒸らし、葉が開ききってからカップに注ぐ。ポットは蓋付きのものを用い、ティーカップもあらかじめ温めておくと良い。 抽出時間はBOPなどの粉末状の茶葉なら2分以内、OP以上の茶葉の形が残っているものなら3 - 5分がよいとされる。この抽出時間はあくまで目安であり、紅茶の産地や水質、茶葉の量や紅茶の濃さによって調整する必要がある。 鍋や釜に湯を沸かし、茶葉を入れてそのまま煮出した後、茶葉を濾別する方法。煮出す時間は普通30秒程度。煮出している最中は蓋をすること。鍋一つでも出来る、比較的簡便な方法ではあるが、一度に多量に抽出できる上、抽出時に変化が与え易く、応用の利く方法である。 また、ロシアやトルコなどでは紅茶を入れる際の湯沸かし器としてサモワールが伝統的に使用されてきた。サモワール上部にはティーポットが据えられる構造となっており、ポットが加熱され続けることにより茶液が濃縮される。 水の代わりにミルクを用いたもの。クリームを加えてより濃厚に仕立てることもある。ただし、これは紅茶の本場イギリスを連想させる単語として「ロイヤル」を用いた日本独特の呼称であり、イギリスにおいてそのような表現は存在しない。イギリスではこの手の紅茶は「インディアンティー」つまり後述のチャイと呼ばれており、特に区別されていない。 煮出し式に似ているが、水の代わりにミルクを用い、抽出に比較的長い時間をかけるもの。インド・チャイがこれに当るが、ハッキリとした定型が無く、煮出し式との区別はむずかしい。多くの場合、多量の砂糖とスパイスが入る。またミルクを使った煮出し式と比較すると、煮出し式は茶葉の香りを飛ばさぬようミルクが完全に沸騰する前に(俗にいう「吹かさないように」)火を止めるが、煮込み式の場合はあえて何度も煮返して水分を飛ばし、茶葉の香りよりはミルクの濃厚さとスパイスの香りを重視して作る場合が多い。店頭では常時沸かしっぱなしになっていることが多い。 茶漉しやネル袋に茶葉を入れ、上から熱湯を注ぐ方法。このときにネル袋を抽出液に浸漬したり、茶葉を搾るなどの操作が加わる。上から熱湯を注ぐだけでは「色つきのお湯」程度にしかならず、逆に揉んだり絞ったりすれば非常に濃い紅茶となるが、いずれにせよ良い方法とはいえない。多量の砂糖とミルクを添えて味を誤魔化さねば飲みにくい代物である。 イギリスといえばアフタヌーンティーなどが有名であるが、一般の家庭や喫茶店では手軽なティーバッグによって供されることがほとんどであり、好事家の家庭や専門店、および高級ホテルなどにおいてのみ茶葉が用いられている。産業革命時代に労働者の空腹を紛らわす目的で労働者階級にまで普及したため、伝統的に砂糖を入れて飲まれることが多い。 イギリス流のアフタヌーン・ティーも盛んであるが、庶民はエバミルクと砂糖をたっぷり入れたミルクティーや、レモンを1/3個分程使った、レモンティーを特にアイスで楽しんでいる。また鴛鴦茶というコーヒーと合わせた香港独特の飲み物もある。 中国雲南省などで作られる磚茶(せんちゃ。茶葉と茎を蒸して固形化したもの)とバターと岩塩、プンドを、ドンモやチャイドンと呼ばれる筒形の容器に入れ、攪拌して作る。バター茶とも呼ばれ、チベットでの重要なビタミンC摂取源である。どちらかというと味はスープに近く、主食のツァンパを練るのにも使う。 一人分ずつ供されたジャムをスプーンですくって舐めながら紅茶を飲むのが本場ロシアでの作法である。寒い土地で紅茶にジャムを入れると茶の温度が下がり、体を温めるのに適さなくなってしまう。またお茶そのものが渋くなってしまう。日本において一般に「ロシアン・ティー」と言えば、紅茶にジャムを加えて飲むものとされているが、大変な誤解である。 トルコでは、トルココーヒーのイメージがあるがこちらは高級品で、紅茶が身近な飲み物になっている。独特の形をした紅茶をだすための器具があり、真ん中がくびれた細身のガラスコップに入れて客に振舞ってくれる。この地を旅行すると、必ずこのような紅茶にお目にかかる。さっぱりとしたアップルティーが一般的で、これとは別にハーブティーなどがある。 紅茶茶葉中には、重量にして3%程度カフェインが含まれる。この量はコーヒーの3倍の量に当る。しかし、1杯当りに使用する茶葉・豆の量(抽出の効率も)が異なるため、飲用時のカフェイン濃度はコーヒーの方が高くなる(カフェイン濃度はコーヒーに比べ半分程度とされる。しかし、品種や抽出条件(加えてコーヒーでは焙煎状態)により大きく変化するため、厳密に評価するのは難しい。)。なお、紅茶に含まれるカフェインはタンニンと結びつくためにその効果が抑制されることから、コーヒーのような覚醒的作用は弱く緩やかに作用する。 紅茶におけるタンニンは、エピカテキンやエピガロカテキンなどのカテキン類とその没食子酸エステル誘導体が主となっている。一般に、カテキン類は苦味を、その没食子酸エステル誘導体は渋味を持つと言われる。生茶葉中にも多量に存在する。紅茶製造においては、発酵過程において生成されるテアフラビンなどの赤色色素の前駆体となっており、その抽出液の水色に大きな影響を与える。なお、タンニンはポリフェノール化合物の一種でもある。紅茶には、茶葉重量の11%程度タンニンが含まれている。生茶葉中に、乾燥重量に換算して20 - 25%含まれる。紅茶によく用いられる茶樹の品種であるアッサム種では、このタンニンの含量が緑茶に用いられる中国種に対し1.2 - 1.5倍程度多く含まれている。 紅茶の水色は主に紅茶フラボノイドによって決まる。紅茶特有の呈色成分として知られるテアフラビンとテアルビジンが良く知られており、これらの水色に与える影響は大きい。この二つの成分が多い程、水色は鮮やかな濃い赤色となり、良品とされる。 紅茶の香気はリナロール(レモン様)やゲラニオール(花の様な)といったテルペン類による影響が強いが、その他にも青葉アルコール(ヘキセノールのこと。青臭い若葉)などのアルコール類、青葉アルデヒド(ヘキセナールのこと。青臭い若葉)のようなアルデヒド類、ネロリドール(ウッディな)、サリチル酸メチル(湿布薬)をはじめ多くの物質が関与している。 なお、リナロールやゲラニオールなどのテルペン類は、生茶葉中では配糖体など不揮発性の前駆体として存在しており、これが萎凋や発酵の過程で遊離すると考えられている。 萎凋の際、生茶葉に含まれる青葉アルコールや青葉アルデヒドは蒸散し、次第に減少して行く。一方、細胞内の酵素の作用によりテルペン系の香気成分が集積してくる。 茶葉に含まれるポリフェノールオキシダーゼ(ラッカーゼとも言うEC 1.10.3.2)の作用により、カテキン類(タンニンと考えても良い)が酸化重合し、テアフラビン(橙赤色)やテアルビジン(赤色)などの赤色色素が生成する。これらの物質は茶葉にもともと含まれる紅茶フラボノイドとともに茶の水色を決定する。また、この際、いくつかの香気成分も生成される。 乾燥における熱風処理でかなりの香気成分が散逸する。また、糖のカラメル化も起こる。また、水分量が激減するため、製品の品質は安定する。 紅茶に関連する資格としては日本創芸学院が認定する紅茶コーディネーター、日本紅茶協会が認定するティーインストラクターがある。 |