Bloodmoneyとは?/ ディック
[ 269] Hitman: Blood Money 作品解説
[引用サイト] http://www.game-damashi.com/about/hitmanbloodmoney.htm
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海外では人気が高く、Eidosの看板となっているHitmanシリーズの4作目。前作で47が仕事を請け負っていた”機関”そのものの存在が危うくなり、47や仲介役のダイアナ自身も敵対組織から隠れつつ、仕事をこなしていく。基本的に各ミッションは独立した1話完結型のストーリーになっているが、今回は47に関して話を進めていく謎の登場人物が、47の仕事の軌跡を辿る形でゲームが進行していく形式になっている。ちなみに複雑な分岐条件などはないが、一応2種類の終わり方が用意されている。 プレイヤーは伝説の暗殺者"47"となり、謎の機関から任務を請け負っていく。ミッション前のブリーフィングで持っていく武器を選択することが可能だが、基本的には現地調達となる。武器にはピアノワイヤー、2丁拳銃、スナイパーライフルなどがある。現地ではターゲットの他に多数の一般人や警備がおり、まず普通の一般人として様子を探り、それから誰かを殺してその人物に変装し、死体を隠す。すると変装がバレない限り、他人は47のことを変装した人物だと勘違いするようになる。これを利用して立ち入りが許可されない場所に忍び込み、ターゲットを暗殺するのがHitmanの基本である。 ただし清掃員に変装したのにスタッフルームに入るなど、怪しい行動を取ればNPCの警戒心が増し、最終的には変装が見破られてしまう。また服を剥ぎ取られた死体が見つかる、殺人現場を見られるなどしても変装が無意味になってしまう。この場合プレイヤーは武器を使ってその場の敵を倒し、一度隠れた上で別の人間に変装すれば、再び他人に成りすまして潜入を続行できる。 このように隠密行動でターゲットに迫っていくゲームであるが、戦闘によって道を切り開くこともでき、例えばある程度まで潜入したら突然マシンガンを取り出して、その場にいる敵を皆殺しにして逃走、といったこともできるバランスになっている。ただし、安易な戦闘でも解決できてしまうバランスは評価の分かれるところである。 BMでは47の取れる行動のバリエーションが大きく広がっている。肉弾攻撃は対象との位置関係によって攻撃方法が変わり、正面から向き合っているときは頭突き→パンチと繰り出して相手を気絶させることができる(左図)。また背後からでは突き飛ばし攻撃になり、状況によっては崖や海に突き落とすことができる。 エレベーターのハッチは何故か必ず開いており、そこによじ登った状態で真下にいる敵にワイヤーでの首絞め攻撃を加えることが可能。相手は即死し、さらに死体はエレベーターの上に引き上げられるので見つかることがなくなる。ピストルなどの武器を持った状態で敵の背後に接近するとその敵を盾にすることができ、正面にいる敵は攻撃を躊躇う。また攻撃された場合でもある程度人質がダメージを吸収してくれる。ただし盾のない方向にいる敵からは普通に攻撃を受けてしまう。 今作ではマップ内に物を収納するための大きな箱がいくつも設置されており、敵の体をそこまで運んでくると中に隠すことができる(右図)。また半開きになっているクローゼットも設置されており、見つかっていない状態でその中に入ると完全に姿を隠すことができ、またわずかな隙間から外の様子を観察することもできる。 コインは無限に持つことができるアイテムで、投げたり足元に落とすことにより音を発生させ、見張りを移動させたり視線を逸らすことができる。ただし相手に見られた状態でコインを投げても無意味。拾いなおす必要はなく、使っても何度でも補充される。さらに今までの作品で特定のミッションに設置されていた「毒薬」「爆弾」は基本装備に加えられ、全ミッションで自由に使えるようになった。毒薬はビンではなく注射器の中に入っており、任意の食べ物に直接打ち込んだり、また敵を背後から殺すのに使うことができる(寝ている敵も殺害可能)。 今作では47の所持金という概念が復活しており、高ランクを獲得するほど高収入を得ることができる。逆に最初のスーツに着替えず変装したままミッションを終えたりすると、スーツ代として報酬から引かれたりもする。獲得した報酬は武器のアップグレードなどに使うことができ、例えばピストルにサイレンサーやスコープを付けたり、より強力な弾薬を使用できるようになる。アップグレードの中には相反する性質を持ったものも存在し、消音性重視や攻撃力重視といった風にカスタマイズ可能。また後述する悪名を、市民や警官を買収することによって軽減することもできる。高い金を払うと新しい身分を手に入れて完全に悪名をなくすこともできる。 「暗殺者としての47」を見たものが生きていると、ミッション後に悪名度が0-100の範囲で増加する。この値が高くなっているとミッションクリア後に表示される新聞の記事に47の似顔絵が書かれるようになり、その顔は悪名度が高いほどよく似てくる。悪名度が高くなると変装していても47の顔を見て逃げ出すキャラクターが出てくるので、ミッションの遂行がより困難になるという仕組み。ただし金を払うことにより軽減することが可能。また例えカメラに写ってしまっても、マップのどこかにある監視所からビデオテープを抜き取ってしまえば証拠は残らない。 今までEキーで一括して色々な操作を行うことができたが、今作からはEで物の持ち運び、Spaceでアイテムを拾う、Gで持っている物を置くという風に分けられるようになった。また死体が発見されてしまったときなどはメッセージは出ず、画面が2画面に分割されて視界外の情報を表示するようになっている。視点はこれまで同様一人称視点(FPSモード)にも対応しているものの、武器を常に構えて警戒されてしまうという欠点が直っていない。また環境によるかもしれないが、1人称視点にすると画面の色が薄くなってしまう。 Hitman」に記録され、そのミッションのクリア時間が短いほど高スコアとなる。隠密向けのランキングだけでなく殺人向けのランキングも存在する。ただしスコアの改ざんができてしまう模様(?)。 難易度はRookie, Normal, Expert, Proの4段階で、それぞれAIの賢さやセーブ可能回数が異なる。今作ではセーブは一時セーブしかできず、一度ミッションを終了させるとミッション中のデータは失われてしまう。また古いセーブデータを読み込んだからといってセーブ可能回数は戻らない。最高難易度では今までと同じくセーブ不可という仕様。一度プレイしたミッションは後で自由に再チャレンジできるようになる。 テクスチャの詳細度やシャドウの設定などが可能だが、コンソール向けに開発されているので一般的なPCのアクションゲームに比べると変更できる項目は少な目。サウンドはEAXに対応している。 動作環境程度だと苦しいと思われる。中程度の設定で快適に動かす場合にも推奨環境は必要。かなりCPUの負荷も高いようで、大勢のNPCが出現するシーンでビデオ設定を上げるとPentium4 |
[ 270] PCゲーム批評 「Hitman: Blood Money」
[引用サイト] http://www.game-damashi.com/review/hitmanbloodmoney.htm
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Cellとは違い変装しながらターゲットを抹殺して逃げるという、いかにも洋ゲーっぽい内容になっている。 今回もストーリーには特に意味がないというか、ちゃんとした設定があるのかないのか曖昧な内容である。ゲームの進行は顔に深い火傷の痕がある男が、47の関わった仕事を回想するという形で進み、その男は「47を捕らえた」と一人の記者に語る。ミッションを進めるに従って男の回想は現在まで遡っていき、徐々に47の現状が分かってくる…というものだ。 Hitmanという作品はステルスアクションゲームに分類されるのだが、普通の作品とはデザインのコンセプトが根本から異なっている。このゲームでは最初、プレイヤーは暗殺者としてターゲットのいるマップに放り出されるのだが、このマップがどれも情報が極端に多く詰まっており、最初はその意味を理解することができない。例えばバーに入ってバーテンに話しかけると怪しげな薬を渡されるが、その使い方を教えてくれる人物はいない。しかしあれこれマップを走り回っていると、ターゲットが定期的に飲み物をウェイターから受け取っているのが分かるので、そのグラスにこっそり薬を盛り込めばいいことに気がつく、という具合である。 そしてHitmanのマップ中には、このような仕掛けが大量に仕込まれている。同じターゲットを殺害する方法でもその手口は5,6通りもあり、一度プレイで全てを味わうことなどはとてもできない。最初プレイしたときは、何だか煩雑なゲームだ、と感じるかもしれないが、プレイすればするほどに一つ一つの仕掛けや配置の意味が見えてきて、ターゲットを鮮やかに自由自在に暗殺できるようになってくる。このゲームの本当の面白さは、最初のプレイよりも、むしろ何度かリトライしたあとに初めて見えてくるものだ。 この面白さを支えているのが、開発側のレベルデザインだ。Hitmanの面白さはシステム云々よりもここにかかっている。そしてクオリティに関しては、前作前々作に劣らぬ素晴らしいものに仕上がっていると言って良いだろう。これだけ要素が多いゲームなのに、バランスが破綻していない点が素晴らしく、絶妙である。プレイしていても明らかにおかしい点や矛盾した点がほとんど出てこないのだ。また適当に配置された敵や無意味な空間など一つたりともありはせず、全てに意味がある。これは相当テストプレイに時間を費やした結果だろう。 例えばオペラハウスに潜入してそこにいる俳優を暗殺するミッションでは、普通に観客として中に入りリハーサル中に狙撃してしまうことができる。機材に爆薬を仕掛けて「事故死」させることもできるし、休憩室に忍び込んで背後から締め上げることもできる。そして何と舞台仲間に成りすまして一緒にリハーサルを行うこともできてしまう。普通のゲームでは「俳優に成りすませばリハーサルを行うことも可能なはず」とプレイヤーが考えても、ゲーム側でそこまで作りこまれていないのでいきなり変装がバレてしまったり見えない壁に阻まれるところだが、Hitmanはそのような「ゲームだから不可能」という言い訳をせず、プレイヤーの想像力に応えてくれる。これができるはず、とプレイヤーが考えることを想定し、信じられない範囲まで作りこみ、現実世界と同じような反応を示すのだ。 そしてこのように作りこまれたゲームは、プレイヤーの脳に強烈な刺激を与える。実際このゲームはマップにあらかじめ用意された仕掛けでターゲットを暗殺するだけでなく、このような多彩なシチュエーションを利用してプレイヤー自らの手でクリア方法を創造してしまうこともできるのだ(あらかじめ決められた手段しかない、という意見もあるがそれは誤りである)。特に今作では遠隔操作爆弾が標準装備となり、暗殺のバリエーションが広がった。何気なく歩いている旅行者のカバンにこっそり爆弾を仕掛け、ターゲットとすれ違ったときに爆発させるなど、一人で暗殺方法を考えているだけでヤバイくらい楽しくなる。自由度に関しては歴代最高と言ってもいいだろう。 ちなみにレベルの作り方は今までの作品を継承しているが、雰囲気自体はかなり異なっている。全体的に明るい、平和な場所に潜入しての任務が増えており(結婚式場や真昼の民家など)、ダークで猟奇的な前作とは対照的である。メインメニューも妙に明るい。シリーズの変化を見ると一作目から順に暗め→明るめ→暗め→明るめ…ときているので、これはもしかしたら奇数作と偶数作で意図的に雰囲気を変えているのかも知れない。 Hitmanシリーズは基本的にステルス行動による暗殺を前提として作られているゲームなのだが、戦闘行為にも非常に寛大で「別に戦闘重視でクリアしても良い」というデザインになっていることでも有名だ。Splinter Cellのように戦闘したらとんでもなく貧弱だったということはなく、むしろ戦闘にはかなり強い方といっていい。二丁拳銃を撃ちまくるだけで敵の死体の山を作ることも可能である。 戦闘の新要素として加わったのは「Human Shield」という敵を盾にする行動で、他のステルス・アクションゲームでも御馴染みのものである。銃を持った状態で敵の背後に回りこむと実行することができ、それを見た敵は攻撃を躊躇うので、その隙に敵を倒したり逃げ出すことができる。「Painkiller(痛み止め)」というヘルスの回復手段も追加されたので、戦闘の自由度も前作よりアップしていると言っていい。他にも武器を使わず正面から肉弾攻撃で気絶させることも可能となっている。 ただしバランス的には虐殺が簡単過ぎるのが相変わらず問題点となっている。じっくりステルスで進めるよりは敵を銃声でおびき寄せて、片っ端から殺していく方が楽なのだ。また銃撃戦になると嫌でも敵が大量に飛び込んできて、結果として大量虐殺になってしまうこともある。この点はあくまでプレイヤーの楽しみ方に任せるといったところか。このゲームは銃殺によるカタルシスはあまりないので、派手な戦闘になってしまったらロードし直すとか徹底して逃げるとかしないとつまらなくなってしまう。また肉弾攻撃は相手の背後を取らなくとも容易く無力化することが可能なため、少々強過ぎな感は否めない。このバランスをどう改善するかは今後も課題となるだろう。 それでも適度に戦闘を混ぜることにより、ゲームはより一層楽しくなる。玄関を見張っている警備員の目の前で銃を抜き取り、おもむろに銃殺して何事もなかったかのように潜入するといった”演出”をプレイヤー自ら考え実行する楽しみもある。レベルデザインの項目にも書いたように、ただ単にクリア効率を考えると大して面白いゲームではないのだが、プレイヤーが自分から楽しむ姿勢を保つことでいくらでも面白くなるのだ。 ステルスだけではなく、映画のような演出に酔いしれるという楽しみ方もある。クリアだけを考えるのはあまりにも勿体無い。 変更点としては走っている姿を見たり肩がぶつかったりしてもほとんど警戒しなくなったこと、血痕に反応するようになったこと、武器を地面に落としたときの音にも反応するようになったことが挙げられる。反応は全体的に鈍くなっており、武器を持ったまま背後で音を立てても、今作では振り向くまでの間に攻撃が可能になっている(このためダッシュで一気に間合いを詰めることができる)。プレイヤー側の潜入手段が多彩になったことを考えると難易度はより下がっており、旧作のファンにはやや物足りない。 私がBMに一番期待していたのはAIの進歩だったのだが、これは残念だった。下手な新要素の充実よりもAIの改善が先決と言えるだろう。最もこれには難易度の問題(賢いAIは欺くのがより難しく難易度が高まる)や処理の問題(マップ内の人数が増え続ける傾向にあるので、AIが高度化すると重くなる)があるのかもしれないが、もうちょっと何とかして欲しいところだ。具体的に私が求めるのは変装を見破ろうとする能力だろう。同じシステム・同じAIを相手にし続けていると、今までと同じセオリーが通じてしまうので変化に欠ける。 Blood Moneyの大きなフィーチャーとして取り上げられていた報酬システムは、バランスが悪く上手く働いていないという印象が強い。報酬システムとはクリア時にその働きに応じて報酬が振り込まれ、ステルスを保っているほど高収入になるシステムのことである。高位の称号を獲得するとボーナスが付くし、逆にダメージを受けるとペナルティとして天引きされてしまう。そして報酬によって武器をアップグレードしたり、他人を買収して悪名を消すことができるのだ。 何故上手くいっていないかというと、まず第一にアップグレードの魅力に欠ける。そもそも銃器による攻撃手段の強化はゲームの性質上それほど嬉しくないし、アップグレード抜きでも十分戦闘可能である(欲しいのはサイレンサーくらい)。またショットガンやアサルトライフルもアップグレード可能だが、これらの武器は大きくて隠しながら持ち運ぶことができないため、そもそも使おうという気が(完全に戦闘重視の人を除いて)起こらない。よって金を費やすのは使い勝手の良いピストルやSMG、小道具類に限定されてしまい、選択に悩むことがない。 そして第二に金が余る。アップグレードするべき対象が限られている上に報酬は高めなので、普通にプレイする限り必要なもののアップグレードには困らない感じだ。もちろん全てを最大までアップグレードするにはSAランクの獲得が不可欠だが、他の武器は別にどうでもよいものが揃っているので、金が余ったら割り振る感じである。 報酬システムと連動して今作には「悪名」という要素があり、ミッション中に目撃者を活かしたままにしておくと、次のミッションでNPCから警戒を招きやすくなるという風になっている。これは確かに、目撃者ができてもその人間を消してしまえば悪名はつかない、と面白くなりそうな可能性は秘めていたのだが、肝心の悪名が余りある金によって簡単にもみ消すことができるので、私は初回プレイ時から常に悪名0であった。 客観的に見ると、この報酬システムはHitman初心者に対しては面白い要素なのかもしれない。戦闘をしがちな人ならそれなりに金に困ることもあるだろうし、武器のアップグレードも心強いかもしれない。だが少なくともステルス中心でプレイする限り、このシステムは微妙であると思った。 グラフィックは前作に比べれば大きく進化している。特に47のセルフシャドウの渋さや窓の外から流れ込んでくる淡い光は美しい。前作と比較すると明るい場面での任務が多くなるのでグラフィックの良さは分かりやすく、そういう意味でもグラフィック的に見るべき点は増えていると言えるだろう。何より色合いにセンスを感じる。全体的に落ち着いた色調で、日常に溶け込むゲームの雰囲気に合っている。人体の輪郭は普通のゲームに比べるとふっくらした感じであり、そこには質感が感じられえる。また同時表示可能人数が大幅に増えており、場所によっては100人近くのNPCが人ごみを作っている場面もある。 サウンドは銃声がよりリアルになり、特にサイレンサー付きの銃を発砲したときの音が良くできている。ただしサブマシンガンの発砲音などはやはりFPSゲームに比べると大きく劣っており、撃つだけでは面白味がない。EAXにも対応しているのだがこれは相変わらず弱く、臨場感に欠けてしまっている。サウンド面は相変わらず貧弱であり、残念なところだ。BGMはこれまでの曲とは少しイメージが変わり、やや大人しい感じのものが増えた。個人的にはBGMの出来でいうと前作前々作の方が好みだったのだが、このBMの落ち着いた曲も悪くないと思う。前作「Contracts」のメインテーマのリメイクが流れるのはファンには嬉しい限りだ。 ゲームシステムにはあまり変化がないが、レベルデザインはやはり一級品である。そのためシリーズのファンやHitmanは初めてという人には十分楽しめる作品だと思う。実際私も夜を徹してプレイに励んでしまったほどだ。しかし今のシステムのままでは、次回作あたりでさすがに飽きられてしまいそうな雰囲気はある(私は別に構わないと思うだが)。そろそろこのシリーズも、もう一皮剥けるべき時期にきたのかも知れない。 |
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